今日は “野菜の日” 若手農業者に日本の農業をインタビュー!【創刊report 第2弾】

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左から販売中のデーツやデーツ畑、若手農業者笠井翔銘さん/出典:フレッシュNow

創刊repotr第1弾に引き続き山梨・甲斐市にてウコン栽培を営む若手農業者 笠井翔銘さんに現在・今後の日本農業についてどのような考えをお持ちか率直な意見をインタビュー。笠井さんは語る…

ウコン以外の作物を栽培しないのか?

実はいまビーツを育てている。山梨は富士山の裾野にあるため畑作に向く。ロシア料理ボルシチに欠かせない食材として有名だが日本ではあまりなじみのない野菜である。ビーツはカブに似ているがアブラナ科ではなくアカザ科の植物であり、東欧や北アフリカなど幅広い地域で栽培。環境変化にも強く日本には江戸時代に流入。日本の気候でも育てることが可能だ。栽培も特段難しいことはなく、年に2回のサイクル(3月に植えて7月に収穫、8月に植えて11月に収穫)で収穫が可能な野菜だ。また収穫済みの畑では8月の作付けを開始する。調理法はそのまま皮をむいてサラダにしたりジュースにすれば良いだけで調理も簡単な食材。また甘みもありクセもないので、食べやすいことで知られる野菜だ。

ビーツ栽培のきっかけは

知人の助言である。親族が糖尿病を患っているところビーツは糖尿病や肝機能改善、動脈硬化など様々な症状に効果が期待できると話があり身内の健康を考えて栽培をスタート。

JAや道の駅から引き合いがあり販売も行っている。当初予想した以上に売れており驚いている。また近隣の高級スーパーへ販路を拡大すべく交渉したいと考えている。最近テレビ等でビーツを取り上げ美容や健康、ダイエットに効くと報じられておりそうしたことも売れ行きに影響していると思う。

一般に流通しているキュウリやナスなどの野菜は?

一般的な野菜を作ることに積極的に取り組む考えはあまりない。またそうした野菜はすでに栽培ノウハウや施設を持った農家が多いが私はそうしたものを持ち合わせていない。山梨ではキュウリや小松菜、トマトなどを育てる農家が多いが、これらは市場を食い合っているようなものだ。一般的な野菜のほうが世間の需要は高いが生産者も多いため供給過多に陥ることがある。そうなればせっかく育てた野菜を流通させることができず廃棄するほかない。農家が野菜を育てるために使う労力は同じでも販売できなければ意味がない。

笠井さんが考える日本の農業の問題点は何か?

高齢化などによる離農者の増加、新規就農者の減少であると考える。農業は肉体労働であり後継者がいない農家の高齢化は作付面積の減少から始まり最終的には離農へとつながっていく。また「農業は儲からない」、「肉体労働がきつい」、「農家になりたくてもノウハウを知らない」など様々な理由で就農希望者が少ない。ただし、「農業は儲からない」という点に関して言えばそうは思わない。県内でトマトを栽培している農家が年間数億円を売り上げているとの話も聞いている。そうした農家は大量の収穫物をさばける販路を持っている。農家の生産力に営業努力が加われば「儲かる農業」は夢ではないと考えている。また競争相手のいない作物、輸入依存の作物を栽培することも「儲かる農業」につながると考えている。このほか就農者の減少はビジネスチャンスともいえる。サッカー元日本代表の高原直泰氏が沖縄県でコーヒー豆の栽培に取り組んでいるほか、元横綱・朝青龍もモンゴルで日本種の蕎麦を栽培している。元スポーツ選手がなぜ農業に従事しているのか、そこにビジネスチャンスがあると考えたからであろう。

コロナ問題と日本農業についてどのように考えているのか?

コロナ問題により日本の食料自給率が30%程度と非常に低いことが更に問題視されると考える。食料品の多くを輸入に頼っているためコロナ問題で一部の輸入品の流通に不備が生じているとも聞いている。今一度、日本の農業をはじめとした第1次産業に立ち返り大企業も日本産の農産品に切り替えるなど国も支援しながら日本総出で第1次産業を盛り立てるべきだと考えている。

まとめ

笠井さんはウコンだけでなくビーツも育てていた。またハト麦の栽培も検討しているという。笠井さんが競争相手のいない作物の栽培に関して話をしている際、「大規模農家や収入に余力のある農家は新しい商品作物の栽培に取り組むべきだが、そうした挑戦をしない」とも話をしてくれた。確立された農家ほど保守的になるところもあるが笠井さんのようにチャレンジシップを持って新たな商品作物の作付やドローンなどを利用したスマート農業の導入を積極的に行うべきではないだろうか。

追記

笠井さんが育てたビーツをいただいたのでビーツとカブにポン酢をかけ、サラダ仕立てにして食べてみた。笠井さんの話のとおりビーツは甘みがあってクセがなく歯触りもよく非常に美味しかった。また笠井さんが育てたビーツを切って驚いたのが切り口から赤いジュースがあふれてくること。ビーツをさらした水が赤く染まるほどであった。新鮮な証拠であろう。山梨の道の駅などでビーツを見つけた際は是非ともお勧めする商品だ。笠井さんのビーツはJA農産物直売所「いーなとぅぶ竜王」(甲斐市篠原2635)などで販売中。

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