今年、桃を食べましたか?実は病気が蔓延し危機的状態も

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桃の病状/出典:長野県農業関係試験場

読者の皆様は今年、桃をスーパーで見かけられたと思うが、間もなくシーズンも終了である。今年の桃の変化を自分なりに振り替えると、出だしはいつも通り高いが数週間で値段が安定するとともに実も大きくなりはじめ、猛暑からゲリラ豪雨時期になると更に実が大きくなったように思う。値段についてはモノによって変化するため、割高のものには手を出さなかった。そのため、値段は例年程度か、そんなイメージであった。実は、桃は収穫時期によって品種や産地が異なる。そのため、硬い桃や柔らかい桃、甘みの有無なども変化している。

そんななか筆者は、ある桃農家の方に連絡し、今年の桃の出来栄えについて話を聞いた。そうしたところ、実は桃が危機的な状況にあったことを説明してくれた。以下、桃農家の方から聞いた話をまとめたものである。

今年の桃の出来栄えはどうだったか

実は、今年の桃には「せん孔細菌病」という病気が蔓延している。病状としては、枝葉や実に黒い斑紋ができ、実が割れたりして売り物にならなくなる。最悪の場合、2割程度しか出荷できない農家もあり、桃農家によっては危機的状況、農園運営を左右する状態に陥ったところもある。ちなみに、今は晩成の桃の収穫も終わりを迎えており、桃の季節は間もなく終了である。

「せん孔細菌病」について、詳しくはこちら

桃の価格はどうか

今年の桃は病気が蔓延し、収穫量が少なかった。そのため、JAが割高で購入してくれる。当方で販売するより手間もないため、JAに流している。そのため市価の桃の価格は、例年より割高になっていると思われる。

台風の影響もあったのか

台風により収穫を前倒しする農家の報道が見られるが、収穫を前倒しするということは、果樹が熟す前に収穫することである。そのような果樹は甘みも少なく実も小さいので商品価値はなく、「〇〇の果樹は不味い」などと悪評が立つ可能性もある。台風が来れば収穫量も減少するが、その後、果樹の取引価格も高騰するため、果樹の落下を甘んじて受け入れ、残った果樹を良質に育て上げることのほうが良いと考えている。

雨が降ると果樹は大きくなるが、それは腐りやすくもなるということであり、甘みも減少する。そのため、晴天ばかりでも問題だが、雨が降り続くことも果樹にとってメリットがあることではない。

【編集長感想】

今年も何気なく桃を食べていたが、桃農家にとっては危機的な状況にあった。ちなみに、今年のサクランボについても長雨で腐ったため出荷できなくなり、国産のサクランボは7月下旬ころからスーパー・青果店から消えたと聞いている。

今年は異常気象や病気が、果樹の世界には悪影響を及ぼしていた。来年はこうした状況が改善することを願うばかりである。

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